第12話  ハエ竿釣法   平成15年7月20日      


私は「魚とのやり取りは魚と対で」と考えている。

昔は肉厚で丈夫なヘラや鮎竿の改造の長竿に2〜3号の道糸に1.5〜3号のハリスを使い、釣ったら絶対に逃がさない釣をしていた。釣ったら必ず家に持ち帰得る釣をしていた。

それが最近では、関西に注文した長尺物のハエ竿を使い、道糸は1.0〜1.2号、ハリスは0.4〜0.6〜0.8号、引きの強い晩秋には1.0号を使うようになった。でかいのがくれば、ハリスが切れ、竿が折れる。それが又面白いと思うようになった。

竿が満月のようにしなり、折れそうになる。道糸が、ハリスが切れる…?と思いつつも魚をあしらいながら遊ぶ。これが何とも云えない至福の瞬間である。ぎりぎりの選択で黒鯛を釣上げた時の瞬間は正に「勝負」に勝ったという気がするのである。当然魚を逃がせば「勝負」に負けた事となる。数釣では、魚を散らすといって嫌われるが、所詮遊びであるから、一枚一枚を大切に釣って魚とのやり取りを十分に楽しめばそれで良い。それでも、魚をあしらう技術さえ覚えれば、早く上げることも出来ないことはない。

昔のヘラ竿には元調子、中調子、極軟調子、軟調子、先調子等のと云った竿があったが、最近では先調子の竿が殆どある。合わせ易く、数が取れる竿に変わってしまった。長尺のハエ竿は悲しいかな当地では売っていない。すべて関西から取り寄せしている。たまにハエ竿を使った小型黒鯛を狙う竿が、地元限定で売られる事もある。小型専門であるから丈六
(4.8m)までしかない。丈八(5.4m)以上は関西に注文となる。それを中通し竿にすると3040cmは短くなってしまう。その時は、手元に布袋竹を使い元の長さに近いものにする事もある。手元を多少重くする事により、重心が移動し竿が軽く感じるので、竿の扱いが楽になる。

まだまだ、数を釣りたいと云う気持ちと大きいのを釣りたいという気持ちもある。しかし、危険な場所で数や大型を狙うより、釣が出来ることに感謝しながら釣ることも大事だと思えるようになって来た。釣る仕掛けは出来るだけ細くして魚にも逃げる権利を与え互角の勝負をしている。それがいつまでも魚を保存し、長く釣れる事にも繋がるのであるから・・・・・!!!